北東ユーラシア、朝鮮半島の南に位置する韓国(大韓民国)には、4世紀半から10世紀前半まで隆盛を誇った新羅王朝時の木造建築寺院「仏国寺」の本殿、如来坐像と「海印寺大蔵経板殿」などの仏教遺跡が世界遺産(文化遺産)として引き継がれています。
古代朝鮮半島南東部にあった新羅王朝(356年~935年)の都、現在の慶尚北道慶州市の東に石窟庵(ソクラム)、仏国寺(プルグクサ)は位置。
8世紀に創建された石窟庵(ソクラム)は、吐含山(トハムサン)の山頂近くにあり、高さ3.4mの如来像、十一面観音菩薩や十大弟子が配置されています。
仏国寺(プルグクサ)は、石窟庵(ソクラム)の9km先、吐含山(トハムサン)のすそ野にあり、新羅時代に栄えた仏教文化の集大成といわれている寺院。
李氏朝鮮時代、儒教が国教となり、仏教は弾圧で寺院は破壊されるなど著しく衰退、774年に建立された仏国寺は壊滅的な打撃を受け、1970年代に再建されています。
慶尚南道陜川郡、伽耶山(カヤサン)国立公園の南西麓に位置する海印寺(ヘインサ)は、新羅王朝時、802年に創建、李氏朝鮮の仏教弾圧で一時廃寺となるが、その後、海印寺(ヘインサ)は存続を許され再興。
海印寺(ヘインサ)通じる渓谷は滝や岩、松林に囲まれ、東屋や庵などが配置された景勝地。
仏教の経典、高麗八萬大蔵経の版木を収めた大蔵経板殿は1488年建立の建造物で世界遺産に登録されています。
石窟庵(ソクラム)の円形の石窟内には、本尊の釈迦如来座像を中心に、独特の芸術性をもった39体の仏像彫刻が、調和よく配置され、仏教芸術の最高傑作と評価されています。
仏国寺(プルグクサ)は、鮮やかに緻密に色彩された大雄殿のある東院、極楽殿のある西院とからなり、8つの国宝を内部に保存。
仏国寺多宝塔・・・ハスの浮き彫りの屋蓋石、木造造りのような石造三重塔。
仏国寺・・・紫霞門から、右に釈迦塔、左に多宝塔、中央に大雄殿。
紫霞門・・・俗世と仏の世の境界とされています。
英語表記:Seokguram Grotto and Bulguksa Temple
所在地:慶尚北道慶州市 N35 46 60 E129 20 60:(緯度 経度)
登録基準 (i)(iv) 1995年登録
新羅
朝鮮半島北部を勢力圏とする高句麗、朝鮮半島南西部を勢力圏とする百済、朝鮮半島南東部を勢力圏とする新羅の群雄割拠時代(三国時代)から7世紀中頃、唐、新羅同盟によってに百済、高句麗を滅亡させた後、唐に反旗を翻して朝鮮半島ほぼ全域を勢力圏におく統一新羅を樹立。
8世紀末から9世紀には国力を弱体化させる内乱が多発、10世紀前半に建国した高麗によって滅亡。
海印寺(ヘインサ)は、韓国国宝第32号の八萬大蔵経(パルマンデジャンギョン)を所蔵するため法宝寺刹の別称があります。
経板一枚の大きさが、縦24cm、横69cm、厚さ約3cm前後のの木造印刷用の刻板で80,258枚ほどあり、八萬大蔵経(パルマンデジャンギョン)を保管する蔵経板庫(ジャンギョンパンゴ)も、また、韓国国宝。
蔵経板庫(ジャンギョンパンゴ)は、湿度調整が理想的に工夫されてつくらています。
英語表記:Haeinsa Temple Janggyeong Panjeon, the Depositories for the Tripitaka Koreana Woodblocks
所在地:慶尚南道侠川郡 N35 47 60 E128 5 60:(緯度 経度)
登録基準 (iv)(vi) 1995年登録
登録年度順 | 登録名 | 登録区分 |
① | 宗廟 | 文化遺産 |
② | 昌徳宮 | 文化遺産 |
③ | 石窟庵と仏国寺 | 文化遺産 |
④ | 海印寺大蔵経板殿 | 文化遺産 |
⑤ | 華城 | 文化遺産 |
⑥ | 慶州歴史地域 | 文化遺産 |
⑦ | 高敞、和順、江華の支石墓群 | 文化遺産 |
⑧ | 朝鮮王陵 | 文化遺産 |
⑨ | 大韓民国の歴史的村落:河回と良洞 | 文化遺産 |
⑩ | 南漢山城 | 文化遺産 |
⑪ | 百済歴史地区群 | 文化遺産 |
① | 済州火山島と溶岩洞窟群 | 自然遺産 |