東アジアに位置する中国(中華人民共和国)には、内陸への海上交通網を提供する首都北京から杭州までを結ぶ「大運河」、中国皇帝が諸民族の首長に授けた特定官職の「土司の遺跡群」など紀元前から19世紀まで隆盛を誇った中国王朝の史跡が点在する王宮跡、宗教建造物、独特な版築建造物が世界遺産(文化遺産)として引き継がれています。
中国の首都北京市、天津市、山東省の北から南の浙江省まで、8省を通過する大運河は総延長2.500km、中国の北部、東部、東部中央平野に広大な内陸水路系を形成します。
紀元前5世紀から開削工事が始まり、7世紀の隋王朝時には内陸部を結ぶ交通手段となり、その後、歴代王朝によって維持拡張され現在に引き継がれています。
大運河完成により、歴代王朝の兵士輸送、食糧運搬など、内陸への交通、通信の基幹となり、歴代王朝の長期にわたる領土管理が可能になりました。
大運河の施工は、産業革命以前の世界最大、かつ最も広範な土木工事プロジェクトとされています。
13世紀~20世紀初頭、中国南西の山岳地帯を中心に残された土司制度の遺跡、土司制度は近隣の少数民族を統治するための政治制度で、中国皇帝によって任命された部族首長に授けた特定官職。
大運河は黄河と長江など、中国で最も重要な河川流域を結び、内陸経由へ交通網を提供、中国の継続的繁栄と安定を確保する上で重要な役割を果たしてきました。
中国歴代王朝は、大運河の海上交通網を利用した穀物、塩、鉄などの物資輸送による地方との連結、および兵士輸送などの運河保管により、地方経済との課税制度の維持を可能しました。
大運河の起源を遡ると7世紀以来の中国王朝から現代中国までの中国歴代王朝を通じて、経済的、政治的統一の強力な要因となり、海上輸送による繁栄や様々な文化的伝統を目撃する顕著な例とされています。
大運河の内、護岸などが改修されていない、旧時の景観を留める部分的な区間が世界遺産(文化遺産)に登録されています。
英語表記:The Grand Canal
所在地:北京市、天津市、河北省、山東省、江蘇省、河南省、安徽省、浙江省 N34 41 38 E112 28 6(緯度 経度:度分秒)
登録基準 (i)(iii)(iv)(vi) 2014年登録
天津市 主な市轄区
天津市(Tianjin):所在地 天津市 N39 08 00 E117 12 00 ※ ⇒ Google Map
土司の遺跡群は中国湖南省、湖北省、貴州省に残された、古代中国南西部の少数民族の文化的伝統や生活様式を維持しながら、国政を統一することを目的とした制度の遺跡群です。
発掘され世界遺産(文化遺産)に登録された土司の遺跡は、以下の3遺跡。
英語表記:Tusi Sites
所在地:湖南省、湖北省、貴州省
N28 59 55 E109 58 1(緯度 経度:度分秒)
登録基準 (ii)(iii) 2015年登録
土司の遺跡群 観光地
老司城遗址:所在地 湖南省湘西トゥチャ族ミャオ族自治州永順県 N28 59 55.0 E109 58 01 ※ ⇒ Google Map
唐崖土司城址:所在地 湖北省恩施トゥチャ族ミャオ族自治州咸豊県 N29 41 26.0 E109 00 19 ※ ⇒ Google Map
海遗屯:所在地 貴州省遵義市遵義県匯川区 N27 48 42.0 E106 49 01 ※ ⇒ Google Map
登録年度順 | 登録名 | 登録区分 |
1 | 九寨溝渓谷景観と歴史地域 | 自然遺産 |
2 | 黄龍の自然景観と歴史地域 | 自然遺産 |
3 | 武陵源の自然景観と歴史地域 | 自然遺産 |
4 | 雲南の三江併流保護区 | 自然遺産 |
5 | 四川省のジャイアントパンダ保護区 | 自然遺産 |
6 | 中国南方カルスト | 自然遺産 |
7 | 三清山国立公園 | 自然遺産 |
8 | 中国丹霞 | 自然遺産 |
9 | 澄江の化石出土地域 | 自然遺産 |
10 | 新疆天山 | 自然遺産 |
1 | 泰山 | 複合遺産 |
2 | 黄山 | 複合遺産 |
3 | 峨眉山と楽山大仏 | 複合遺産 |
4 | 武夷山 | 複合遺産 |