南アジアに位置するスリランカには、仏教の聖地として多くの巡礼者が訪れる「聖地アヌラーダプラ」、城壁で囲まれ、寺院など数々の仏教遺跡が残存するシンハラ王朝が遷都した都「古代都市ポロンナルワ」など、スリランカに点在する古代王国の史跡が世界遺産(文化遺産)として引き継がれています。
スリランカ北中部州のアヌラーダプラ県、聖地アヌラーダプラは、現在のスリランカ人口の約7割を占めるシンハラ人が築き上げたアヌラーダプラ王国(紀元前5世紀~11世紀)の政治・宗教の中心地として繁栄した首都。
アヌラーダプラは、人工的に水を供給する人造湖などの灌漑システム、外国人宿泊施設、病院、カースト階級による居住区などの都市計画が、当事の優れた土木技術で施工されています。
古代都市ポロンナルワは、アヌラーダプラの南東に位置、チョーラ朝の侵略により、時のシンハラ王朝がアヌラダープラからポロンナルワに遷都、ポロンナルワ王国として歴代王が仏教普及に努めた地。
11世紀~13世紀にわたるポロンナルワ王国の町は防御のために城壁で囲まれ、寺院など数々の建造物、灌漑のための貯水池など、交易と農業で繁栄した面影が残されています。
スリランカ北中部州のアヌラーダプラは、シンハラ人を祖とするスリランカ最初の王ウィジャヤ王(紀元前6世紀中頃~紀元前6世紀初め)が築き、紀元前4世紀後半、ウパティッサ・ヌワラ王国のパンドゥカーバヤ王がアヌラーダプラへ遷都したのがアヌラーダプラ王国(紀元前4世紀後半~11世紀初頭)の起源されています。
仏教伝来は、紀元前約3世紀頃、アショカ王(インド・マウリヤ朝、第3代王)の息子が聖地ブッタガヤ(インド・ビハール州ブッダガヤ)から挿し木を妹のサンガミッタ尼僧に託し植樹されたスリー・マハー菩提樹(Sri Maha Bodhi)の周囲が始まりとされています。
約千年以上にわたり繁栄を続けたアヌラーダプラ王国は、タミル系のヒンドゥー王朝・チョーラ朝(9世紀~13世紀)の侵略で11世紀初めに放棄、シンハラ王朝がポロンナルワへ遷都した後、アヌラーダプラ王国の建造物は長年にわたりジャングルの中に埋もれていましたが、近年では、交通の利便性が改善されスリランカ人口の約7割を占める仏教の聖地として多くの巡礼者が訪れています。
アヌラーダプラ王国の遺構には、紀元前2世紀に建設された三大の仏塔の一つルワンウェリセーヤ仏塔(Ruwanwelisaya Dagoba)、スリランカ最古の仏塔トゥーパーラーマ仏塔(Thuparama Dagoba)、イスルムニヤ精舎(Isurumuniya Vihara)、樹齢数千年以上とされるスリー・マハー菩提樹(Sri Maha Bodhi)が現存します。
英語表記:Sacred City of Anuradhapura
所在地:スリランカ・北中部州(ノースセントラル州アヌラダプーラ) N8 19 60 E80 22 60(緯度 経度:度分秒)
登録基準 (ii)(iii)(vi) 1982年登録
古代都市ポロンナルワの遺跡には、ポロンナルワ宮殿、トゥパラーマの仏塔、ワタダーゲの仏塔、サトゥマハル・プラサーダの仏塔、ハタダーゲの仏歯寺院跡、市街地の北に位置する全長が約13m近くある有名な釈迦像が位置するガル・ヴィハーラの涅槃像など、王宮史跡や仏教寺院が点在、ポロンナルワ王国を偲ぶ史跡として現在に引き継がれています。
英語表記:Ancient City of Polonnaruwa
所在地:スリランカ・北中部州(ノースセントラル州) N7 54 57 E81 0 2(緯度 経度:度分秒)
登録基準 (i)(iii)(vi) 1982年登録
登録年度順 | 登録名 | 登録区分 |
1 | 聖地アヌラーダプラ | 文化遺産 |
2 | 古代都市ポロンナルワ | 文化遺産 |
3 | 古代都市シギリヤ | 文化遺産 |
4 | 聖地キャンディ | 文化遺産 |
5 | ゴール旧市街とその要塞群 | 文化遺産 |
6 | ダンブッラの黄金寺院 | 文化遺産 |
登録年度順 | 登録名 | 登録区分 |
1 | シンハラジャ森林保護区 | 自然遺産 |
2 | スリランカ中央高原 | 自然遺産 |
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