北アジア、東欧に位置するロシア連邦には、細長い砂州の浸食作用に挑み続けた絶え間ない保護活動を物語る「クルシュー砂州」と、ロシア正教会の修道院として類例を見ない保存状態と創意工夫と清浄な雰囲気に満ちる「フェラポントフ修道院群」など、帝政ロシア時代の伝統的な文化を示す華麗な建造物、ロシア皇帝の宮殿、ロシア正教の大聖堂、大修道院群などの象徴的な世界遺産(文化遺産)が引き継がれています。
クルシュー砂州(Curonian Spit、クロニアン・スピット)は、ロシア連邦飛び地カリーニングラード州とリトアニア共和国サンビア半島に跨る、バルト海、クルシュー潟間の延長98km、幅約0.4km~3.8km の細長い砂州地形。
堆積した砂が風や波の浸食に晒される自然環境に居住するため、絶え間ない環境の変化に適応した地域社会の生活様式を反映した文化がクルシュー砂州には保存されています。
フェラポントフ修道院の建造物群は、ロシア連邦北西部ヴォログダ州の州都ヴォログダ北西約115km園内、ボロダエフスコエ湖(Borodaevskoe)とパスコー湖(Paskoe lake)の間の小さな丘に位置。
フェラポントフ修道院は、1398年、モスクワの修道士フェラポント(Ferrapont)により設立、15世紀~17世紀に建築された保存状態の良いロシア正教の重要な修道院の一つとなっています。
クルシューラグーンからバルト海を隔てる狭い半島の砂丘の尾根は、紀元前3000年頃、潮流によりモレーン島の上に砂が運ばれ形成、以降、森林に覆われたが、17世紀から18世紀の集中的な森林伐採後、砂丘は最古の入植地を埋め、クルシューラグーンに向かって移動し始めました。
19世紀への変わり目、即時の保護活動なしでは、地域で人の居住が持続不可能であることが明らかになり、砂丘の安定化作業が開始されました。
そして、砂丘の尾根は木々や柴垣根を使用して補強され、現在、森林と砂が、クルシュー砂州を覆い、都市化された8つの小さな集落は、土地の僅か約6%をカバーしています。
英語表記:Curonian Spit
所在地:ロシア連邦カリーニングラード州、リトアニア N55 16 28.488 E20 57 44.604(緯度 経度:度分秒)
登録基準 (v) 2000年登録
15世紀後半から16世紀初頭、フェラポントフ修道院はベロゼロ地方(Belozero region)の宗教、文化、イデオロギーの主要な中心となり、最も有名なボルガ修道院(Volga monasteries)ように、モスクワ大公国の方針にかなりの影響を及ぼした修道院の1つとされています。
フェラポントフ修道院群は、残存する6つの建造物で特に注目される最も古い構造した1490年建設の生神女誕生大聖堂(Cathedral of the Nativity of the Virgin)のほか、1530年代建設の鐘楼が載る独特の生神女福音教会(Church of the Annunciation)、1641年建設の聖マーティン教会(St. Martinian Church)、エピファニー教会(Churches of Epiphany)、聖門(Holy Gate)、鐘楼などで構成されています。
英語表記:Ensemble of the Ferapontov Monastery
所在地:ロシア連邦ヴォログダ州 N59 57 0 E38 34 0(緯度 経度:度分秒)
登録基準 (i)(iv) 2000年登録