世界遺産ツアーと世界遺産一覧：ロシアの世界遺産

深い森の隠修士だったセルギイだが、まもなく多くの修道士達が彼のもとに集まり、彼らに師父として導くよう要請されたセルギイは要求を認め、労働による生計を自ら手本として示します。

１３５５年に、セルギイは修道院共同社会のため憲章を導入、それは、修道院食堂や製パン所などの建物につながり、修道院の拡張に至ります。

セルギイ憲章は、彼の弟子によって設立されたソロヴェツキー、キリロフ、およびシモノフ修道院を含くむロシア全体４００以上の修道院のためのモデルとして使用されていきます。

聖セルギイは、タタール（モンゴル）に対する１３８０年のクリコヴォの戦いの前、第４代モスクワ大公ドミートリー・ドンスコイ（Dmitri Donskoi、1350年1～1389年、在位：1359年～1389年）を祝福、勝利を予言し、軍隊の士気を高め、さらに、修道兵士２人を助勢ために送る俗世間でもロシア歴史の重要な人物とされています。

戦いに勝利をおさめたが、修道院はタタールの部隊が地域を急襲した１４０８年の火災で荒廃。

１４２２年、彼の遺物は、コソボの戦いの後、セルビア修道士のチームによって建設された最初の石の大聖堂に埋葬され、ロシアの守り手、神への執り成しをする者として聖セルギイはロシア国家の守護聖人に宣言されました。

中世ロシアのアイコンの画家、アンドレイ・ルブリョフ（Andrei Rublev）とダニイル・チョールヌィイ（Daniil Chyorny、1360年～1430年）による大聖堂をフレスコ画で飾るために召喚され、まもなく、モスクワの王族がこの大聖堂で洗礼を受け、ここでの感謝の祈りを持つことが伝統となりました。

１４７６年、イヴァン３世は、数人のプスコフ（Pskov）の建築家を招き、聖霊の教会（Church of the Holy Ghost）を構築、上部が鐘楼の優美な建造物は、ロシア正教会で残った数少ない最古の建築様式の1つとされています。

１６世紀初期、ヴァシーリー３世（Vasily III、1479年～1533年、在位：1505年～1533年）は、ニーコン別館とセラピオン・テントを加え、そこに、聖セルギイの弟子の何人かが埋葬されています。

イヴァン４世によって１５５９年に委託された、６支柱式の生神女就寝大聖堂（アサンプション大聖堂、The Holy Trinity-St. Sergius Lavra）の建設は２６年の歳月を費やしています。

大聖堂は、モスクワクレムリンの同名モデルよりもはるかに大きく、１６世紀～１８世紀の特徴、壮大なイコノスタスはシモン・ウシャコフ（Simon Ushakov's、1625年or26年～1686年）の傑作、最後の晩餐のイコンで装飾、壁のインテリアは、１６８４年、ヤロスラヴリ（Yaroslav）職人チームが紫と青のフレスコ画で装飾しています。

地下納骨所には、ボリス・ゴドゥノフ（Boris Godunov、1552年～1605年、在位：1598年～1605年）と彼の家族、２０世紀の数人の総主教が埋葬されています。

１９１７年のロシア革命後、ソ連政府は修道院を閉鎖、その建物に市民機関または美術館に割り当て、１９３０年には、６５ｔのツァーリ・コロコル（Tsar-Bell、鐘の皇帝）を破壊、この期間中に、多くの貴重品が盗まれ売られ、または他のコレクションに混入するなど多くの文化遺産が失われています。

第二次世界大戦が始まるとナショナリズム高揚のため、ソ連政府は宗教的権威を認め、１９４５年に大修道院はロシア正教会に返還、１９４６年、生神女就寝大聖堂で、聖堂を再び神とのつながりを回復する成聖式が行われています。